「干せる場所」を作っても、「乾く場所」になるとは限らない
室内干しを快適にするには、換気・除湿・動線までセットで考える必要があります。
こんにちは。
徳島で50年以上家づくりをおこなっている
セイコーハウジングの元木です。
前回のコラムで、室内干しスペースの必要性について書かせていただきました。
少し驚かれた方もいるかもしれませんが今の時代、家庭の生活リズム、気候、乾燥機器の向上なども重なって、室内干しはもう「雨の日の応急処置」ではなくなっています。

しかし室内干しスペースの注意点を前回のコラムで最後に触れさせていただきました。
“室内干しは、場所だけ作っても解決しない”
「え!?解決しないの...」と、思われた方もいるかもしれません。
せっかく室内干しスペースを作ったのに「乾かない」「湿気がこもる」「結局リビングに干している」という失敗を避けるためにも、今回は設計段階で考えておくべきことを整理していきたいと思います。
室内干しスペースを検討されている方、洗濯動線をラクにしたい方はぜひ最後まで読んでみてください。
◎室内干しで大切なのは「干せる」より「乾く」
室内干しスペースを作ったのに乾かない。その原因はほぼ決まっています。
洗濯物を干すと、衣類の水分が蒸発して空気中に広がります。その湿った空気が部屋の中にとどまると、湿度が上がり続けて乾くスピードが落ちていきます。
湿気がこもれば、結果、生乾き臭や結露、カビのリスクにもつながっていくのです。

国土交通省の「住宅の省エネルギー設計と施工2023」でも、住まい方の注意点として室内の高湿度状態が取り上げられており、洗濯物の室内干しは湿度が上がりやすい要因のひとつとして示されています。
物干し竿を付けることは出発点に過ぎません。
湿った空気を「外へ出す」か「除湿する」仕組みがなければ、スペースを作っても快適には使えません。
室内干しスペースは「干す場所」ではなく「乾く場所」として設計する!これが、失敗しないための基本的な考え方です。
引用元:国土交通省「住宅の省エネルギー設計と施工 2023」
◎快適に乾かすために必要な3つの要素
乾く場所を作るために、設計段階で考えておくべきことが3つあります。
換気:湿った空気を外へ出す
室内干しの湿気を逃がす基本は換気です。
換気扇の位置、窓の開き方、24時間換気の空気の流れ。これらが室内干しスペースの乾きやすさに直結します。
洗濯物を干す場所の近くに換気の出口があるかどうか、設計段階で確認しておく必要があります。
除湿:換気だけでは足りない日の備え
梅雨や雨続きの日は、外の湿度が高いため換気だけでは限界があります。
除湿機やエアコンの除湿機能を使えるよう、コンセントの位置と機器の置き場所を設計段階で決めておくことが必要です。
LIXILの家事アドバイザーによると、脱衣所に除湿機を置いて干す方法が実用的で、洗濯物3.5kg程度なら除湿機とサーキュレーターの組み合わせで6時間以内に乾くとされています。逆に言えば、除湿・換気の対策なしに室内干しをすると、室内結露やカビの原因になることがあると指摘されています。
風:空気を動かして乾きを助ける
洗濯物のまわりの空気が止まっていると、蒸発した水分がすぐ衣類の周辺に溜まり、乾きが遅くなります。
サーキュレーターや扇風機で空気を動かすことで、乾くスピードが変わります。

また、衣類乾燥除湿機を使えば、室内干しに必要な「除湿」と「風」を補うことができます。
洗濯物から出た湿気を取りながら、風を当てて乾燥を助けるため、梅雨時期や夜の洗濯にも使いやすい方法です。しかし、床置き・棚置き・壁付けのどれにするかによって必要なコンセントの位置が変わるため、これも設計段階で決めておくと安心ですよ。
このように、室内干しを快適にするには、換気・除湿・風の3つが大切になります。
洗濯物から出る湿気を外に逃がし、必要に応じて除湿し、空気を動かすことで乾きやすくなるのです。
引用元:LIXIL「賢い『部屋干し』のススメ」 、YKK AP「結露の対策方法5選」
◎室内干しは広さより「洗濯動線」が大切
「ランドリールームを広くしたい!」とおっしゃるお客様は多いですが、広さより先に考えるべきことがあります。
洗う→干す→たたむ→しまう この流れの距離が短いかどうかです。洗濯機の横で干せても、収納が2階の別室にあれば、乾いた洗濯物はリビングのソファや寝室の床に一時置きされやすくなります。
「なんとなく片付かない」の正体は、たいていこの動線の問題です。
TOTO・DAIKEN・YKK APが共同で提唱する住まいづくりの考え方でも、洗って、干して、しまうまでをひとつの流れとしてまとめることが、家事負担の軽減につながると示されています。
家事がラクな家は、設備が多い家ではありません。毎日の移動が少ない家です。セイコーハウジングではスムーズな家事動線ができるよう、このような間取りで施工したこともあります。

▲ セイコーハウジング施工事例|2階ランドリー室のある間取り
引用元:TOTO・DAIKEN・YKK AP「洗って、干して、しまうまで、まるごと解決ランドリールーム!」
◎共働き子育て世帯に向いている配置の流れ
動線という観点で、取り入れやすい配置の基本形があります。
洗面脱衣室 → ランドリースペース → ファミリークローゼット
洗濯機から干す場所、干す場所からしまう場所が一直線に近い形になると、洗濯にかかる移動が最小限になります。
制服・体操服・タオル・給食のエプロン・習い事の服など、お子さんがいる家庭は特に毎日まとまった洗濯物が出ます。夏は汗をかく量が増えるぶん着替えの回数も増え、洗濯量が最も多くなる時期と、外干しができない梅雨・台風の時期が重なります。
洗濯量が多い家庭ほど、動線の良さが暮らしやすさに直結します。
子どもが小学生のうちだけでなく、中学・高校と進むにつれて洗濯量はむしろ増えていくので、今の暮らしだけでなく、これから10年の生活も想定しておくことが大切です。
◎ 室内干しスペースの作り方
室内干しスペースには代表的には次の3パターンがあります。
どのパターンが最適解かは家族によって異なってきますので、生活リズム・敷地条件・予算を踏まえて考えていく必要があります。
①専用ランドリールーム
洗濯専用の部屋を設けるパターンです。
生活空間に洗濯物を出したくない、夜に洗濯することが多い、共働きで家事時間を短くしたい、という家庭に向いています。
注意点は面積が必要なことと、換気・除湿の計画をしっかり立てないと乾きにくくなることで、収納と離れた場所に作ると、動線が分断されて使いにくくなります。
②脱衣室兼ランドリースペース
洗濯機を置く脱衣室に干す機能も持たせるパターンです。
面積を抑えながら洗濯機の近くで干せるため、コストを抑えたい家庭に向いています。ただし、入浴中に洗濯物が邪魔になること、湿気がこもりやすいこと、家族の入浴時間と干す時間が重なる場合があることは事前に考えておく必要があります。
特に脱衣室兼ランドリースペースは、入浴時の湿気と洗濯物の湿気が重なりやすいため、換気計画が重要です。
③2階ホール・廊下の室内干し
2階の廊下やホールを活用するパターンです。
寝室や子ども部屋の収納が2階にある場合は、乾いた洗濯物をしまいやすい利点があります。洗濯機が1階にある場合は持ち運びが必要になること、来客時に見えやすい位置かどうか、冬や梅雨時に十分乾くかどうかは確認が必要です。
セイコーハウジングではここ10年ほど、ランドリールーム設置を希望されるお客様が顕著に増えてきました。それと同時に、「2階にベランダは要らない」とおっしゃる方も増えてきております。
しかし、ベランダをなくすと、防水メンテナンスのコストが抑えられる一方で、実は布団をどう干すかという問題が出てきます。そこで、セイコーハウジングでよく取り入れているのが、2階の窓の外に布団干し用の柵を設置する方法です。
ベランダがなくても布団を外に干せる環境をつくれることもあり、多くのお客様がご希望されてます。

▲セイコーハウジングが実際に施工した2階の布団干し用の柵
◎まとめ|室内干しは「乾く仕組み」まで設計する
室内干しスペースは、物干しを付けるだけでは完成しません。
洗濯物がきちんと乾くこと、湿気がこもらないこと、洗う・干す・たたむ・しまうの流れが短いこと、リビングに洗濯物が広がらないこと、家族の生活時間に合っていること。これらが揃ってはじめて、毎日使いやすいスペースになります。
専用のランドリールームが向いている家庭もあれば、脱衣室と兼用した方がよい家庭もある。最適解はひとつではなく、家族構成・洗濯量・敷地・予算・生活時間によって最適な形は変わります。
「ランドリールームを作るべきか迷っている」
「室内干しスペースの広さや場所がわからない」
「湿気やカビが心配」
こういった疑問や不安を持たれた際はぜひ一度セイコーハウジングまでご連絡ください。
徳島で50年以上家づくりをおこなってきたノウハウをフル活用して、徳島の気候と暮らし方をふまえながら、換気・除湿・動線まで含めた形で家づくりを一緒に考えさせていただきます。
現在、セイコーハウジングでは少人数制の相談イベント「リノベcafe」を随時開催しております。
「リノベは気になるけど、何を相談していいのかもまだわからない…」という方は、まずは気軽にあなたの理想の暮らしについて一緒にお話ししてみませんか?
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