前回の記事で「低コスト工法」について概要を解説しました。今回は、その低コスト工法による耐震補強の効果に焦点を当てていきたいと思います。
まずは、近い将来発生が危ぶまれる南海トラフ巨大地震への備えとして、耐震補強の重要性と具体的なメリットを。次に、旧耐震(昭和56年以前)の古い木造住宅が、低コスト工法によってどれだけ頼もしい家に生まれ変わるのか、一緒に確かめていきましょう!
◎南海トラフ巨大地震のリスク ~ あなたの家は大丈夫?~
徳島県周辺に大きな被害をもたらすと想定されている南海トラフ巨大地震。
政府の地震調査によれば、今後30年以内にマグニチュード8から9の地震が発生する確率は60%~90%程度以上にも達するといわれています 。もはや「いつ起きてもおかしくない」災害なのです。もし南海トラフ地震が発生すれば、徳島県内でも沿岸部を中心に震度6強から最大震度7の猛烈な揺れに見舞われる可能性があります 。
参考:徳島市「徳島市の地震に関する地域危険度マップについて」
南海トラフにおいて被害想定は深刻で、徳島市の試算では最悪の場合、死者数が約1万400人、全壊・焼失する建物は約4万8千棟にも上るとされています 。多くの方が命を落とす原因の一つが建物倒壊による圧死です。
実際、過去の大地震でも老朽住宅の倒壊が甚大な被害を招きました。例えば1995年の阪神・淡路大震災では、亡くなった方の約9割が家屋の倒壊による圧死で、その倒壊した木造家屋の98%は1981年以前の旧耐震基準で建てられた家だったことがわかっています 。裏を返せば、新耐震基準を満たす家なら倒壊を免れ、命が助かる可能性が格段に高まるということです 。
参考:日本耐震診断協会「阪神・淡路から20年。耐震基準が明暗をわけた」
では、新耐震基準を満たす家とは具体的にどれくらいの強さなのでしょうか?
現在の住宅の耐震性能は「耐震等級」という指標で表されています。
耐震等級は「数百年に一度クラスの大地震が来ても倒壊しないか、ギリギリ倒壊しない程度」の強さです。専門的には木造住宅の上部構造評点1.0以上が目安で、壁のひび割れや瓦のずれなどの被害は出ても人命を守れるレベルとされています。
一方、築50年(1981年以前)の古い木造家屋は無改修だと評点0.7未満となるケースが多く、この場合震度6強~7の揺れで倒壊する可能性が高いと判定されます 。参考:徳島県公式ホームページ 徳島県「木造住宅の耐震化(まったなし住まいの耐震化)」

出典:徳島県公式ホームページ 徳島県「木造住宅の耐震化(まったなし住まいの耐震化)」
要するに、今の耐震基準を満たす家(耐震等級1以上)と旧基準のままの家とでは、巨大地震に対する踏ん張りの差は歴然です。
南海トラフ級の地震が来たら、50年前の耐震補強無しの家では人命にかかわる大破壊が起きかねませんが、適切に補強して耐震等級1をクリアした家なら「一応倒壊しない」、つまり崩れ落ちて下敷きになるような最悪の事態は避けられる可能性が高いのです 。
◎旧耐震(昭和56年以前)の家はどう変わる?低コスト補強ビフォーアフター
実際に、築古の木造住宅を低コスト工法で耐震改修するとどれほど強くなるのか、具体例を見てみましょう。
徳島県鳴門市の事例です。木造2階建て・築41年の住宅(延べ床面積95㎡)について耐震診断を行ったところ、補強前の上部構造評点は0.18しかありませんでした 。先ほど触れたとおり0.18という数値は極めて低く、このままでは大地震時に「倒壊する可能性が非常に高い」危険な状態です。
そこで、この住宅に低コスト工法による耐震補強工事を実施。
具体的には、県認定の低コスト工法を用いて壁や接合部を強化し、感震ブレーカー(地震時に自動で電気を遮断する装置)の設置や家具固定なども合わせて行っています。その結果、補強後の評点は1.15にまで向上しました !
わずか40日間の工事で、耐震診断上は「倒壊する可能性が高い」家が「大地震でもまず倒壊しない」レベルの安全な家に生まれ変わったのです 。評点の上昇幅は+0.97ポイントにもなり、数字上は約6倍以上の耐震強度アップを果たしたことになります。
また注目すべきは、その工事費用と補助金利用です!
このケースでは耐震改修工事費がおよそ170万円、他の改修も含めた総工事費は約270万円でした 。
しかし自治体の補助金制度を活用した結果、自己負担は約125万円まで圧縮されました 。※年度によって補助金額は変動します。
つまり、本来なら270万円かかる耐震リフォームを、実質120万円程度で実現できたことになります。費用面のハードルが大きく下がることで、古い家でも耐震化に踏み切りやすくなるのは嬉しいですね。
このように、低コスト工法を使えば築数十年の家でも短期間・低予算で劇的な耐震性能アップが可能なのです。耐震診断で「倒壊の恐れあり」と判定された家でも、適切に補強すれば十分に家族の命を守れる避難の拠り所へと生まれ変わらせることができます。
出典:鳴門市「木造住宅耐震診断支援事業(木造住宅耐震化促進事業)」鳴門市公式ウェブサイト

出典:鳴門市「R7木造住宅耐震化促進事業チラシ(木造住宅耐震改修支援事業・低コスト工法)」[PDF]
◎徳島県の耐震補強補助制度 ~ 補強+補助でお得に安心!
「お金がないから耐震補強できない」という時代は終わりつつあります。
耐震補強を語る上で欠かせないのが自治体の補助金制度です。
徳島県および県内各市町村では、木造住宅の耐震診断や改修に対して手厚い補助を用意しています。上手に活用すれば、先ほどの事例のように自己負担を大幅に減らすことも可能です!

出典:徳島県公式ホームページ 徳島県「木造住宅の耐震化(まったなし住まいの耐震化)」
徳島県の耐震改修補助(木造住宅耐震化促進事業)では、耐震診断で評点1.0未満と判定された住宅に対し、改修工事費の4/5(上限120~200万円まで)を補助してもらえます 。※2025年現在
さらに地震時にブレーカーを自動遮断する「感震ブレーカー」の設置費も一律10万円補助対象です 。
補助上限額は市町村によって異なりますが、現在は期間限定の拡充措置により最大200万円まで引き上げられており(※令和8年度までの特例) 、非常に心強い内容となっています。
市町村独自の加算補助も見逃せません。例えば鳴門市では、先述のように低コスト工法を採用した耐震改修を行った場合、設計費としてプラス10万円の補助が上乗せされます 。耐震改修工事そのものの補助に加え、低コスト工法の設計費まで支援してくれるのです!
他にも、所得税の控除や固定資産税の減額措置など、耐震改修後には税制面での優遇を受けられる制度もありますので 、経済的負担をグッと軽減できます。
今なら国や県・市町村は命を守る住宅の耐震化を強力に後押ししており、補強にかかる費用の大半は補助金でカバーできる可能性が高いのです!特に低コスト工法ならもともとの工事費が抑えられるため、補助金を使えば自己負担が大幅に削減できます。
参考:徳島県公式ホームページ 徳島県「木造住宅の耐震化(まったなし住まいの耐震化)」
徳島県公式ウェブサイトにある徳島県「住まいの耐震化」リーフレットにも耐震化について詳しい内容がまとめられていますので、よかったらご覧ください!
南海トラフ巨大地震の脅威が現実味を帯びる中、耐震補強はまさに「待ったなし」の課題です。大切な家族や自分自身の命を守るため、そして地域の防災力を高めるためにも、今ある補助制度や低コスト工法といった手段を積極的に活用して、安全な家づくりを進めていきましょう!
2回に渡って『低コスト工法』について解説させていただきました。いかがでしたでしょうか?
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